ミニ四駆のベアリング(ホイールシャフトの軸受け)の性能比較をスピードチェッカーでしてみる実験。
「やっぱりミニ四駆の軸受けにはボールベアリングだよね~」なんて話を聞きます。620ベアリングというのが一番いいらしいのですが、脱脂しないと速くならないとか、少々サイズが大きくて云々という話もあるようなので、まずは手軽そうな丸穴ボールベアリングでちょっとテストしてみました。
ミニ四駆の軸受けの種類
ミニ四駆のホイールシャフトを支える部分には、シャーシとは別の部品が使われています。
滑り軸受ならば、MSシャーシ等に標準で使われているハトメ軸受、前世紀にお世話になりまくった安くて高精度だけど耐久性に難があるかものメタル軸受け、最近はフッソコート620スチールベアリングなんてのもあるそうですね。
また、ボールが入っているタイプのベアリングとしては、六角、丸穴、620、それからMSシャーシ用の強化パーツ、ミニ四駆用パーツ GP.411 N-04・T-04強化ユニット(レッド)15411にセットできる520ベアリング(MS、MAシャーシのカウンターギヤ軸受け)なんてのもあります。
丸穴・六角ボールベアリングは、ボールベアリングとしてはかなりいまいちだそうで、内部もボールが入っているだけでボールの間隔を固定するパーツも入っていないとのこと。精度の低さも相まって620ボールベアリングと比較してかなり性能が落ちるそうです(そう言われると、520ボールベアリングの中がどうなっているのか気になりますよね)。
でも620ベアリングより手軽に使えますし、なんといっても手元にありますので(前世紀の遺産を発掘したものです)、「ハトメ」、「低摩擦樹脂」、「丸穴ボールベアリング」をMSしゃーしに組み込み、ミニ四駆用スペードチェッカーで速度比較してみました。
ハトメ、低摩擦樹脂、丸穴ボールベアリング、まずは見た目の比較
「ベアリング」は「軸受け」なので、ハトメ軸受けも低摩擦樹脂軸受けもベアリングと言っていいのですが、どうも、ボールベアリング無しの改造で競い合うことを「ノン・ベアリング」と言ったりするようなので、ここでは、「軸受け」と表現することにします。
ハトメ軸受けの構造と重さ
MSシャーシ以前のシャーシに標準で付属している軸受けで、ハトメという真鍮製のパーツと丸穴の空いた樹脂パーツで構成されています。
ハトメを樹脂パーツにはめ込んで使用します。
重さは4個で0.5gでした。
形状も優れた低摩擦樹脂軸受け
続いて低摩擦樹脂(POM)で作られた樹脂製軸受けです。MAシャーシとARシャーシに付属してます。一見、先ほどのハトメに使われている部品とよく似ていますが、まず材質がPOMという滑りのよいエンジニアリングプラスチックで作られており、シャフトが効率よく回るようになっています。
また、形状がよく考えられており、ホイールと当たる面積が極めて小さくなるようになっています。走行中にホイールが押し当たっても、抵抗の増加がかなり抑えられそうです。
重さは4個で0.4gでした。
20年前の丸穴ボールベアリング
手持ちでストックから発掘したものですけど、まだ1セット600円のころのボールベアリングです。保存状態は袋に入っていたのでたぶん大丈夫かと思います。
4個で1組となっています。写真は左側と右側で表裏をひっくりかえして撮影していますが、プレスで作ったような形状になっています。恐らく、実際に板をプレス加工して作られていると思われます。
実はこのベアリングはあまり好きになれないところがありまして、真ん中のインナーレースが動いちゃうですよね。
真ん中のインナーレース、少しアウターレースよりも厚みがあるのですが、こんな風に押されると動いてしまいます。そのため、ホイールとの接触面積が増えてしまうのでそこで抵抗が増えてしまいそうです。
そんなわけで、ホイールのベアリングに当たる部分を円錐状に削って接触面積を減らす改造をする必要がありそうです。
重さは4個で1.0gでした。
MSシャーシ+ノーマルモーターで100mタイムアタック
シャーシはネオファルコンのMSシャーシを使います。ホイール、タイヤ、モーターともにノーマルです。
実は300m走で実験を始めたのですが、数回実験したところで急にタイムが1秒ほど(44秒が45秒ぐらいに)落ちるようになりまして…300mを5回、それを複数セット行う実験はちょっとモーターに厳しいというか、単に消費をしてしまっているだけのような気がしまして…。
ということで、ジャパンカップジュニアサーキット5セット分(昔、よくこれぐらいでタイム測ってましたし)の100mにすることにしました。
ハトメ軸受け+ノーマルモーターの100mタイムアタック
それではMSシャーシにハトメ軸受けをセットします。MSシャーシ、なんかこうやってノーズパーツとテールパーツを分解しているだけでワクワクしちゃいますよね!
ミニ四駆スピードチェッカーを100mに設定します。
まずは一発目、15.43秒でした。
計測結果は、15.43秒、15.40秒、15.31秒、15.31秒、15.21秒ということで、真ん中3つのデータを平均して15.34秒を結果とします。
低摩擦樹脂軸受け+ノーマルモーターの100mタイムアタック
続いて低摩擦樹脂軸受けです。この部品そのものはMAシャーシやARシャーシに付属しているものですが、MSシャーシにも取り付けることができます。なかなか形状が良いので、ぜひ、GUPとかAOパーツで販売してほしいパーツです。どうせエンプラにするならフッ素樹脂とかMCナイロンとかで発売してくれればもっといいかも。
シャフトのがたつきはハトメ軸受けよりだいぶ少ないです。
というわけで一発目、15.21秒です。ハトメ軸受けよりちょっと速いかも!と期待して実験を続けます。
計測結果は、15.21秒、15.12秒、15.25秒、15.31秒、15.25秒ということで、真ん中3つのデータを平均して15.24秒を結果とします。
丸穴ボールベアリング+ノーマルモーターの100mタイムアタック
最後に丸穴ボールベアリングです。金属パーツは見栄えがいいですね。
それでは期待の一発目、お、15.15秒です。
計測結果は、15.15秒、14.96秒、14.90秒、14.90秒、14.84秒ということで、真ん中3つのデータを平均して14.92秒を結果とします。
結果は順当に丸穴ボールベアリングが1位
ということで、結果は順当に丸穴ボールベアリングが1位となりました。SiSO的には低摩擦軸受けがもうちょっといい結果がでることを期待していたのですが、ハトメよりはちょっといいかな、ぐらいでした。
軸受け種類 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 結果(中3つ平均) |
---|---|---|---|---|---|---|
ハトメ軸受け | 15.43秒 | 15.40秒 | 15.31秒 | 15.31秒 | 15.21秒 | 15.34秒 |
低摩擦樹脂軸受け | 15.21秒 | 15.12秒 | 15.25秒 | 15.31秒 | 15.25秒 | 15.24秒 |
丸穴ボールベアリング | 15.15秒 | 14.96秒 | 14.90秒 | 14.90秒 | 14.84秒 | 14.92秒 |
丸穴ボールベアリングはまだ使い始めたばかりで、慣らし(ブレークイン)は全くしていません。なぜか手元に3組も丸穴ボールベアリングがあるので、1セットはブレークインしてみて慣らし効果の確認をしようと思います。あ、その前に、カウンターギヤのベアリング有り無し比較かな。
今日の一言二言三言
- なんだかんだと丸穴ボールベアリングは速くなる。
今回取ったデータは、ミニ四駆スピードチェッカー上での話なので、ミニ四駆のコースを走っている状態でいえばストレートだけ走っているようなものです。そんなわけで、「コーナー中にホイールに横方向の力が加わり、ホイールが軸受けに強く当たる」という状況はまったくありません。
これが低摩擦樹脂軸受けが期待値より低くかった理由かな?なんて思います。かといって、コースだと変化要素が多すぎて厳密な比較が難しかったりするので悩ましいところです。
※2017/03/12追記:中径であればYスポークホイール、大径であればV字スポークホイールがベアリングと当たる面が細くなっていて、ボールベアリングのアウターレース(シャーシに固定される方)に当たらないようになっているそうです。
ミニ四駆カテゴリのタグ解説
子供たちがミニ四駆を始めたので父も一緒に始めました。前世紀はトルクチューン+プラローラーぐらいでどれくらい速くなるかな?とかやっていましたが、今もニッチに楽しんでいます。 タグでちょっとわかりにくいものがありますので説明付きでリンク貼っておきます。 |
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